
こんにちは。押切もえです。
ついに、念願かなって、行ってきました!アメリカ、カリフォルニアのナパ・ヴァレーにあるロバート・モンダヴィ・ワイナリー。初めてのワイナリー訪問です。
創始者のロバート・モンダヴィ氏といえば、「カリフォルニアワインの父」と呼ばれるほど、それまで世界に認められていなかったカリフォルニアワインの品質を革新し、世界中の偉大なワインと肩を並べるワインを造り出した人物。
残念ながら、ロバート・モンダヴィさんは、一昨年、94歳で生涯の幕を閉じられましたが、奥様のマーグリットさんが彼の意思を継ぎ、「ワインは食事と芸術を祝福し、ワインはすばらしき人生の一部である」というワインに対する哲学を、いまなお提唱し続けています。
実際に、マーグリットさんともお話させていただきましたが、彼女自身、アートや音楽に造詣が深く、いいワインを造るかたわら、フランスから三ツ星シェフを招き、若いアーティストの活動を応援するなど、食事や芸術とともにワインを楽しむ文化を浸透させる活動を何十年にもわたって続けてきたそうです。そうしたお話を聞いて、ワインアンバサダーとして、また、同じ女性として刺激を受けることが数多くありました。
今回は、初めてのワイナリーで、実際に見て、聞いて、触れて、味わった感動と興奮を、みなさんにお伝えできればと思います。

※アエラムック『reborn~「30歳」で生まれ変わる。』
(2010年8月6日発売)より
カリフォルニア州、ナパ・ヴァレーのロバート・モンダヴィ・ワイナリーに行かれたそうですね。初めてのワイナリー訪問はいかがでしたか?
とても天気のいい日で、延々と続くブドウ畑の中にたたずむ、真っ白い塔(鐘楼)を見たときは、感動しました。「あ、ワインのラベルに描かれている絵と同じだ!」って(笑)。
そして、巨大なアーチと噴水に迎えられて、建物の中に入ると、美術品だらけ!そのアートもひと部屋ごとにテーマがあって、インテリアも非常に凝っていて、もしかして、ここはミュージアム?と錯覚するほどでした。さらに驚いたのは、ワインの樽が貯蔵してあるセラーにまで有名なアーティストのつくった像が置いてあったことです。でも、それが整然と並ぶワイン樽と見事に調和していて、「ワインは単独のものではなく、文化の一部」という、ロバート・モンダヴィさんの考え方が、すごく納得できました。
モンダヴィさんの奥様のマーグリットさん自身もアーティストで、マーグリットさんの描いた絵も飾られていましたが、美術品の多くは、おそらく彼女のコレクションなんでしょうね。私も最近絵を描いているので、余計興味がわきました。
レストランも素敵だったでしょう?
はい♪私は、オープンテラスでランチをワインとともにいただいたんですが、キラキラした陽光が照らす白いルーフの下で、心地いい風を受けながらいただく白ワインは、もう最高でした!
何より、「ここを訪れた人たちに、心から楽しんでほしい」という、ワイナリーで働く人たち全員の、おもてなしの心が伝わってきて、それに大感動しました。建物内にあるお土産屋さんで、ワイングラス片手にお土産を選んでいる人もいて、見学者の方たちも、みんな楽しそうでしたよ。
初めてのワイナリーが、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーで本当によかったと思います。
そうでしたか。それはよかった。
もえちゃんがおっしゃるように、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーのホスピタリティは、他のワイナリーもお手本にするほど、完成されています。あそこでは、有名無名を問わず、ときおりミュージシャンのコンサートも開かれていて、何度行っても新しい喜びが見つかる場所。それに、ワイナリーツアーも充実していますから、たとえワイン初心者でも十分楽しめる場所だと思いますよ。
ところで、マーグリットさんともお話されたそうですね。どんな女性でしたか?
とてもおしゃれな女性でした。『セックス・アンド・ザ・シティ』に出てもおかしくないくらい(!)、白いワンピースにターコイズのネックレスをして、ハイヒールを履いて、お年を言ったら失礼ですが、80代の方とは思えない、とても颯爽とした印象を受けました。
日本にも何度かいらっしゃったことがあるそうで、「日本には素晴らしい文化があります。とくに、日本の懐石料理は、とてもおいしい上に、美しくて感動しました。ワインにも合いますね」と言ってくださいました。
※アエラムック『reborn~「30歳」で生まれ変わる。』
(2010年8月6日発売)より
マーグリットさんは、スイス人で、もともとはロバート・モンダヴィ・ワイナリーで、初めての女性ツアーガイドとして働いていた人。5ヶ国語を操り、世界中から訪れるゲストをもてなしていたそうです。その仕事ぶりがずば抜けていて、仕事のパートナーとしてだけでなく、いつしか人生のパートナーとしてもロバート・モンダヴィ氏にとって欠かせない存在になったといわれています。
たしかに、フランスから三ツ星シェフを招たり、若いアーティストの活動を応援するなど、先頭に立ってやったのもマーグリットさん。彼女がいなければ、ワインをカリフォルニアの地に文化として根付かせることはできなかったでしょう。彼女の才能やセンスによるところは大きかったと思います。
私も、そのお話を聞いて、びっくりしました。モンダヴィさんが「カリフォルニアワインの父」なら、マーグリットさんは、「カリフォルニアワインの母」と言ってもいいくらい。それだけ、アメリカ人のライフスタイルに、ワインをいかにして取り入れていくか、果敢に挑戦されたのだと思います。
ヨーロッパでは当たり前の、おいしい食事と音楽、芸術、そしてワインという組み合わせをポピュラーなものにするため、ワインだけでなく、シェフや音楽家、芸術家の育成まで行うことによって、ワインの価値を高めていこうという偉業に取り組んだ、すごい女性。
あらためて、日本人の年間ワイン消費量の平均が2.3リットルという事実を考えると、同じような状況にありながら、マーグリットさんのような女性がいたからこそ、アメリカではワインがこれほどまでに普及したんだなあと思いました。
でも、お会いしてみると、そんな苦労なんて少しも感じさせずに、ニコニコしながら、「ワインはライフスタイルの一部。とにかく人生をハッピーに楽しみましょう!」とおっしゃるんです。そこにまた、ワインに対する愛情の深さを感じましたし、同じ女性として、感銘を受けました。

何か、印象に残る話はありましたか?
とくに印象深かったのは、1960年代当時、ワイナリーで働く女性はいなかったということです。まったくの男社会で、女性が権利を持つことはもちろん、立ち入ることすら許されなかったそうです。
ところが、マーグリットさんは、女性であるからこそできることを追求したんですね。ツアーガイドとして畑やシャトーを案内するにしても、女性らしい視点や気配りでゲストをもてなし、経営者になってからも、そのセンスのよさやきめ細かなホスピタリティで、訪れる人たちを魅了してきた。
だから、実際に行ってみると、本当に気持ちがいいんです。そして、おいしい料理とすばらしい芸術というシーンが用意されていてこそ、ワインがもっともっと価値あるものに感じられるし、そこで過ごした時間が素敵な思い出としても残る、ということがよくわかりました。
このワインアンバサダー通信でも、いつもお料理と楽しむことを提案していますが、ワインやお料理にお金をかける、ということではなく、自分にとって心地いいシーンをつくることが、本当の意味でぜいたくな時間を過ごすことにつながるんだなと思いました。