ここで、シャンパーニュの製法について簡単にお話しておきましょう。スパークリングワイン最大の特徴は炭酸ガスですが、シャンパーニュの場合、調合したスティルワイン(通常のワイン)に糖分と酵母を加えて1本1本瓶詰めし、瓶の中で自然発酵(2次発酵)させます。つまり、発生した炭酸を瓶にそのまま封じ込めるんですね。 そして、酵母が澱として残るので、その澱を瓶の口に集めます。そのために何をするかというと、5~6週間かけて毎日8分の1回転ずつ回しながら、瓶口を徐々に逆さに傾けていきます。それから瓶の口の部分だけを凍らせる。そうすると、澱と一緒に凍った分が瓶の外に押し出されてきますから、それを抜いて、足りない分を補って、栓をして、それでやっと完成するんです。
それを1本1本やるんですか?! それだけ手間がかかるからこそ、お値段も高いんですね。納得です。
さらに地下蔵で熟成させる期間まで含めると、収穫から出荷まで、数年かかるものもあります。これが、有名な「シャンパーニュ方式」です。 ですが、シャンパーニュ以外にも、実は、同じシャンパーニュ方式でつくられ、シャンパーニュにも負けない味わいのパークリングワインがあります。しかもリーズナブルに楽しめる、テーブルワインならぬ、テーブル・スパークリングワインがあるんです。
そんなすごいワインがあるんですか? ぜひ飲みたいです!
その代表的なものがスペインの「カバ」。CAVA=カーブ(洞窟)という意味です。中でも、スペイン王室御用達、バルセロナにある『コドーニュ』はおすすめ。本当にシャンパーニュに負けず劣らず、爽やかな辛口からエレガントで繊細な甘口までつくっていて、歴史も実力もあるワイナリーです。 ところでもえちゃん、バルセロナに行ったことは?
いえ、すごく行きたいんですけど。
だったら、ぜひ年末に行くといいですよ。スペインでは、迎え来る新年が幸福であるように祈りを込めて、大晦日の夜、広場に集まり、12時の鐘の音とともに、カバを片手に12粒のブドウを食べる習慣があるんです。
うわあ、ロマンチック。それは一度体験しておかないと(笑)。
じゃあ、ちょっと疑似体験してみましょうか。日本ではこの時期さすがに生というわけにはいきませんが、ジュエリーレーズンという、普通の干しブドウよりやわらかな酸味で宝石のように美しい色合いのドライレーズンがあって、カバの爽やかな辛口とぴったり合うんです。ワインラバーとしては、カバを一口、レーズンを一粒食べながら新年を迎えるのもおすすめですよ。
先生もかなりロマンチック(笑)。でも、こういう食べ方、女性は好きな人が多いんじゃないかな。雰囲気もいいし、うっとりします。これ、ぜひ日本でも流行らせましょう(笑)! カバのほかにも、先生おすすめのスパークリングワインはありますか?
もちろん。先ほどのシャンパーニュ方式は、瓶内2次発酵ですが、タンク内で2次発酵させるという違いはあるものの、あとはほとんど同じ「シャルマ方式」でつくられるスパークリングワインもおすすめですよ。
たとえば、黒猫のラベルで有名なドイツワインのスパークリング版、『ツェラー・シュワルツ・カッツ・ゼクト』(ゼクトがスパークリングの意)は、爽やかで華やかで、バランスのとれた味わいが実にすばらしいですし、太陽の恵みをたっぷり浴びたブドウでつくられた、チリの『サンライズ・スパークリング』は、フレッシュなフルーツの香りとすっきりした酸のバランスが絶妙。
それと、国産で、今年の国産ワインコンクールで金賞を受賞した『勝沼のあわ』は、世界中の“泡モノ”を全部調べた上で和食にも合うテイストに仕上げた職人の技術の結晶。繊細な泡立ちで、本当に日本食ともよく合います。
もうひとつ、食後のデザートにも合う、イタリアのスパークリングワイン、『カペッタ・アスティ・スプマンテ』(スプマンテがスパークリングの意)もおすすめ。マスカットを使っているので、柑橘系の香りがフワッとして、フルーツケーキやチーズケーキ、ティラミスとも相性抜群です。
どれもカジュアルに飲めて、誰かの家に持って行くにもお手頃だし、見た目もオシャレ。シャンパーニュだとどうしても高価で、いつ開けようか?って思ってしまうけど、ちょっと飲もうかなと思ったときに気軽に開けられて、しかもおいしいスパークリングワインがこんな身近にあったなんて、びっくりしました!